奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ

読んだ目的
この本に興味を持ったのは、以前「お金の大学」の著者・両学長のYouTubeでおすすめ本として紹介されていたのがきっかけでした。
経営について、もっといろんな角度から学びたいと思っていたタイミングでもありました。
また、自分自身が家業に関わっていることもあり、何か取り入れられることがあれば実践したいと思って読み始めました。
そして何より、タイトルにある「一週間毎日が週末発想」という言葉に強く惹かれ、「一体どういうことだろう?」と気になったからです。
心動いた部分と感想
仕事に対して抱いている従来にイメージ「単純な繰り返し作業、退屈、激務」を、「仕事=心から楽しく、幸せと自由なもの」に代えるだけのこと。(p16)
人生の多くの時間を仕事に費やすなら、やっぱり楽しいものにしたい。
「変えるだけ」と書かれているけれど、それが一番難しくて、一番価値のあることなのかもしれません。
質問することは、アイデアの硬直や、まる暗記の回答をすべて捨てさせることにつながります。社員は、自由に質問し、分析し、調査できなければなりません。そして、会社側は、社員の意見をしっかり聞く柔軟な態度を持たなければならない(p46)
前職でも感じていたことですが、いくら社員が意見を持っていても、会社側に「聞く姿勢」がなければ、何も意味がないように感じてしまいます。
社員が自由に質問できる環境をつくり、それにしっかり向き合っていくことの重要性を再認識しました。
社員を最優先に考えるからこそ、彼らの中に、最高の仕事をしようとするやる気が起こるものだと信じます。(p92)
やりたくないこと、納得していないことを無理にやらせても、結局は良い結果に繋がらない。
社員がやる気を持てる環境を整えることこそが、経営の出発点なんだと思います。
一緒に働く人だからと言って、その人のことを好きになる必要はありません。それから、好きな人とだけと一緒に仕事をすることが、皆が一丸となって働ける職場をつくるということでもありません。相手のことが好きでなくとも、相手を尊敬することはできます。(p105)
職場には年齢も性別も背景も異なる人が集まっているから、「全員を好きになる」のは正直無理があります。
でも、「尊敬できる部分」を見つけることならできる。そこから自然と「この人の話をもっと聞いてみたい」という気持ちが生まれ、お互いを認め合う土壌ができてくるのだと思いました。
不信感は、放っておくとバクテリアのように社内に蔓延してしまう危険性があります。セムコ社には、他人のうわさ話や陰口、圧力といったものはほとんどありません。なぜならそういったものが繁殖できないような会社のシステム・風土があるからです。しかし、社員を完璧に信頼することが、時に裏目にでることもあるのは事実です。(p207)
一度芽生えた不信感は、なかなか拭えません。
だからこそ、最初からそれが発生しないような仕組みや風土をつくることが大切。これは家業でも本当に気をつけたいと思いました。
コントロールをやめることは、すなわち情報の独占をやめることでもあります。(p215)
誰にでもわかるように会計データの意味を伝える方法が必要です。(p226)
「決まったからやってね」というトップダウンな伝え方だと、理由がわからず納得できず、考えることすらやめてしまう。
情報が開かれているからこそ、自分で考え、行動できるんだと感じました。
リーダーシップとは、組織の考えに同意しているにもかかわらず、それを実行に移せない個人に対して、基本的な考えを注入し、それを行動に移すためのプロセスを提供することなのです。(p289)
真のリーダーならば、そのリーダーが会社を離れた後でも、その組織は、継続して活気あふれうまくいくものです。(p289)
私が家業で目指したいのは、こういうリーダーシップ。
地域の中小企業の多くは「社長=優れたワンマン」のイメージが強いけれど、私は「仕組みと文化」で継続していく組織を作りたいと思っています。
人生と同じくビジネスにおいても、その道程は、気ままで思いがけない出来事の連続です。なので、自然の成り行きにまかせることが一番よいと思います。(p316)
家業に戻ったことで少し身構えていた自分にとって、この言葉は救いでした。
焦らず、できる準備を着実にして、あとは自然の流れに任せる。そんな気持ちでやっていきたいと思います。
セムコ社では、誰もが会社のオーナーである私と同等にみなされます。つまり、わたしも、ミーティングでは他の社員同様、投票権を持つ一人にすぎないということです。(p326)
このオーナーのスタンスには本当に驚きました。
社員とフラットな関係を築くには、トップの姿勢が何より大事だと実感しました。
この本が日本語訳されて出版されたのは、もう19年も前のこと。
でも、もし「つい最近出た本です」と言われてもまったく違和感がないほど、考え方が今でも新しく、鋭く感じました。
それだけ先進的だったということでもあるし、同時に、こういった経営を実践している会社がまだまだ少ないという現実でもあるのかもしれません。