小規模企業共済を検討してみた

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うちの社長(父)が知人から「小規模企業共済はやった方がいいよ」と勧められたらしく、「調べてみてくれ」と私に話がきました。

正直なところ、私の知識としては「節税になるらしい」という程度。でも、勧めてきた方々もきっと「節税になるから」という理由で話していたんだと思います。

今回は、小規模企業共済がどんな仕組みなのか、そして小企業である我が家の会社にとって、どう活用するのがベストなのかを自分なりに調べてまとめてみました。

小規模企業共済とは

小規模企業の経営者や役員、個人事業主のため退職金制度です。月々の掛金は1000円~70000円は選ぶことができ、全額が所得控除の対象となります。

共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」があります。一括受け取りの場合は退職所得扱いとなり、分割受け取りの場合は、雑所得扱いになります。

金利1.5%で掛金の7~9割の範囲内で借入れをすることができます。借換えを利用することで、1年のみの借入れを毎年更新することができます。

どう導入していけばいいのか

小規模企業共済をやるといっても具体的にどのくらい節税になるのでしょうか。

「やった方がいい」と言われても、具体的にどれくらい節税になるのかが分からないと導入判断はできませんよね。

掛金は標準月額報酬から支払うことになるので、その分社会保険料は上がります。また、最終的な共済金の受け取り時には税金が発生します。

実際にYouTubeなどでは「導入した方がいい」「やらない方がいい」という両方の意見があります。

「で、結局どっちなの?」と思ったので、自分で試算してみることにしました。

試算してみた

うちの会社で導入することを想定し、以下の条件でシミュレーションしてみます。

条件

・月額報酬:25万 / 30万 / 35万 / 40万 / 45万 / 50万

・小規模企業共済の掛金:1万 / 3万 / 5万 / 7万

・最大所得税率:10%(全て) / 20%(報酬40万以上)

・住民税率:10%

・30年後に退職

課税所得に対して設定されている税率分は下記のようになっていきます。

年収に対する課税所得

・25万×12=300万 → 課税所得2,020,000 

・30万×12=360万 → 課税所得2,440,000 

・35万×12=420万 → 課税所得2,920,000 

・40万×12=480万 → 課税所得3,400,000 

・45万×12=540万 → 課税所得3,880,000 

・50万×12=600万 → 課税所得4,360,000 

所得税と住民税でどれくらい節税になるのかを試算します。

所得税計算式

最大所得税率10%:195万×5%+(課税所得ー195万)×10%

最大所得税率20%:195万×5%+135万×10%+(課税所得ー330万)×20%

住民税の計算式(税額控除を除く)

住民税=課税所得×10%+均等割(5000円)

掛金ごとの年間節税額

〇所得税率最大10% / 住民税率10%の場合                        

・掛金 1万円:月々2,000円 → 年間節税額 24,000円

・掛金3万円:月々6,000円 → 年間節税額 72,000円

・掛金5万円:月々10,000円 → 年間節税額 120,000円

・掛金7万円:月々14,000円 → 年間節税額 168,000円

〇所得税率最大20% / 住民税率10%の場合

・掛金 1万円:月々3,000円 → 年間節税額 36,000円

・掛金3万円:月々9,000円 → 年間節税額 108,000円

・掛金5万円:月々10,000円 → 年間節税額 180,000円

・掛金7万円:月々14,000円 → 年間節税額 252,000円

掛金を30年積み立てて退職すると

30年積み立てた合計掛金

・掛金 1万円:360万円

・掛金3万円:1080万円

・掛金5万円:1800万円

・掛金7万円:2520万円

退職所得控除の計算式

20年以内:40万×勤続年数

20年超:800万+70万×(勤続年数−20)

30年での退職所得控除

800万+70万×(30-20)=1500万

この時点で掛金1万円 / 3万円だった場合は控除内に収まるので非課税。

掛金5万円 / 7万円の場合は、ここから退職金に対しての税がかかってきます。

退職金の課税所得計算式

退職金ー退職所得控除×0,5=課税所得

ここからは退職金の受け取り時の年収が決まってないと計算できないため、

所得税率最大10%の年収を300万とし、所得税率最大20%を600万とします。

退職金にかかる税金計算

掛金5万円で退職金受け取り時、年収300万(所得税最大10%)

【退職金課税所得】

1800万ー1500万×0.5=150万円

【所得税】

課税所得202万+退職金課税所得150万=352万

128万×10%+22万×20%=17万2000円

【住民税】

150万×10%+5000円=15万5000円

税金合計:32万7000円

掛金5万円で退職金受け取り時、年収600万(所得税最大20%)

【退職金課税所得】

1800万ー1500万×0.5=150万円

【所得税】

課税所得436万+退職金課税所得150万=586万

150万×20%=30万

【住民税】

150万×10%+5000円=15万5000円

税金合計:45万5000円

掛金7万円で退職金受け取り時、年収300万(所得税最大10%)

【退職金課税所得】

2520万ー1500万×0.5=510万円

【所得税】

課税所得202万+退職金課税所得510万=712万

128万×10%+365万×20%+17万×23%=89万7100円

【住民税】

510万×10%+5000円=51万5000円

税金合計:141万2100円

掛金7万円で退職金受け取り時、年収600万(所得税最大20%)

【退職金課税所得】

2520万ー1500万×0.5=510万円

【所得税】

課税所得436万+退職金課税所得510万=946万

259万×20%+205万×23%+46万×33%=114万1300円

【住民税】

510万×10%+5000円=51万5000円

税金合計:165万6300円

最終的な節税金額

最終的にそれぞれの掛金で実際に節税できた金額は下記のようになりました。

掛金1万円の所得税率10%の場合:72万円

掛金1万円の所得税率20%の場合:108万円

掛金3万円の所得税率10%の場合:216万円

掛金3万円の所得税率20%の場合:324万円

掛金5万円で退職金受け取り時、年収300万の場合:327万3000円

掛金5万円で退職金受け取り時、年収600万の場合:458万5000円

掛金7万円で退職金受け取り時、年収300万の場合:398万円7900円

掛金7万円で退職金受け取り時、年収600万の場合:590万円3700円

我が家の方針

うちの会社で導入することを考えると、現状年収がそこまで高くないので、掛金7万で積み立てると退職所得控除額より大幅に上回ってしまうため、節税の効果が薄れてしまいます。

会社全体で年収が上がっていけるようにこれから努めていきたいですが、現状としては掛金は最大5万だと思います。

クラウスのひとりごと

経営していく中で、お金の知識や制度に詳しくなっていくことは大事な武器になると実感しました。

今回のように、一つひとつ自分で調べて理解していくことで、最終的には会社全体の経営判断にも良い影響を与えられると感じます。これからも学びを続けていきたいと思います。

ABOUT ME
Kurausu
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設備屋のせがれ
イケオジ経営者になりたい者
建築現場監督として3年半働き、現在は家業の設備屋を魅力的な会社にするべく奮闘中。
イケオジ経営者になるために,日々やっていることを記録していきます。
一緒に成長していきましょう!
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